Story キラキラ光る ~天然石~

天然石を使った作品を作り始めた頃のお話です。


人工的に造られたビーズは色や形が揃っていて、“何かを表現する” にはぴったりだと思います。


天然石のビーズも色んな形に加工されていますが、基は地球の、そして自然の一部ですね。


同じ石から出来たビーズでも、二つと同じものは無いからかもしれませんが、他のビーズには無い、“何か” を感じます。


それは、一つ一つの石が持つ個性だったり、魅力だったりするのかもしれません。

それ故に私の場合、天然石を選ぶときは、他のビーズを選ぶときと、感覚が全く異なります。


シードビーズやスワロフスキーはハッキリっと目的をもって選びますが、天然石の場合はどちらかと言うと、“石と目が合う” と言うのか、フッと「何か作れそう…」と感じた感覚を優先します。


ある程度の基準はあっても、その時点ではデザイン等、無計画のことがほとんどです。


後に、選んだ石をじっくり眺めていて、色だったり形だったり、そこから思い浮かんで来るものをつかんで、イメージを膨らませながら作品にしていく感じです。


ですので、天然石をメインにした作品作りでは、作り手(私)ではなく“石”が主導権を握ります。それを強烈に感じたことがありました。


ターコイズを初めて扱ったときのことです。


小さなラウンド玉のターコイズとラピスラズリを中心にしてブレスレットを作ろうと思いました。


よく使用している金色のシードビーズ(2ミリの小さなビーズ)にターコイズを合わせてみました。でも、「あれ??金色が負けている」と思ったのです。一口に金色と言っても微妙に色の違う金色が何種類もあります。


お店に行って、とっかえひっかえターコイズと合わせてみましたが、どれもピンときません。

最後に手に取ったのが、一番濃い金色で、何か神々しい感じのする竹ビーズ(竹のように筒状のビーズ)でした。


「これは色が強いなぁ、きっと無いな」と思って、何の期待もせずターコイズと合わせたところ、ピタッとハマった感覚がありました。

「えっ???」思わず確認すると、それは本金加工された特殊なビーズでした。


「道理で!」と思ったものの、予想外の色に躊躇してしまいました。


私的には色が強すぎる・・・でも、、、ターコイズが選んだ色だしビーズだし、、、ホントに大丈夫だろうか?、、、と半ば賭けをするような気持ちで買って帰りました。


後に、作品にしてみてびっくり。黄金色の竹ビーズは、ターコイズやラピスラズリと見事に調和して、大満足の仕上がりでした。


ターコイズを初めて扱った印象は、”見た目以上に 個性や主張の強い石!” でした。

どんなに金色やスワロフスキーで石の周りを飾っても、一粒の石の存在感は大きくて!

そして、石の個性を無視しては、なかなか作り手(私)の思うようにはならないな、と言う事も知るきっかけになりました。


小さくても主役になれる天然石は、やっぱりビーズの中の王様だと思います。


そのブレスレットは暫くして、めでたくご縁のあった方の元へ行きました。


「石は持ち主を選ぶ」とも言われます。


人との出会いも一期一会ですが、石との出会いも一期一会ですね。


手元に来た石たちを“美しい形”にして、皆様に届けられると嬉しいな~と思いながら作っています。


Atelier Skatt

ビーズのアクセサリーから、天然石のジュエリーまで幅広く制作しております。

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